わさびすし
わさびは、寿司と一緒に供される少量の緑色のペーストとして、多くの人に馴染みがある。有田川町独自の寿司スタイルである「わさび寿司」では、わさびが主役だ。酢飯の上に魚や野菜をのせ、塩漬けしたわさびの葉で包むことで、一口ごとにまろやかな辛みを感じることができる。わさびの根と花を混ぜただけのものをトッピングすることもあり、より風味が強くなる。
わさび寿司は、清水地域で伝統的に作られてきた「はやずし」がもとになっている。酢飯の上に魚をのせ、丈夫な葉(例えば、芭蕉の葉や、竹のようなアセの葉)で包む。包むことで持ち運びが容易になり、葉の天然の抗菌作用で魚の腐敗を防ぐことができる。その結果、田植えや祭り、その他の社交の場に持っていく人気商品となった。
わさびずしは、有田川町の農業を代表する名物料理を作ろうと、地元の料理人が考案した。有田川町に自生する山葵にインスピレーションを得て、酢飯に、真妻わさび、鮎、山菜煮、山椒など和歌山の食材を寿司ネタとして使い、わさびの葉で包んだ。今では多くのレストラン、現代風にアレンジされたこの料理が提供され、有田川町の食のシンボルとなっている。